老若男女、障害の有無、国籍を問わず、誰もが一緒にボッチャができる仕組みを考えています。
公平でなければ、なかなか熱い試合になりません。
ユニバーサルとして成立させるルールや工夫をいくつか紹介します。
車いすに合わせて座って投げる
車いすユーザーが相手の場合、パイプ椅子などに座って条件を揃え、ボールを投げます。
立って投げたほうが見下ろせるので狙いやすく、有利と言われます。
ただし、車いすユーザーのベテランボッチャ選手と対戦するときは、もはや条件を揃えて座る必要はありません。
視覚障害に合わせてアイマスクをして投げる
視覚障害者が相手の場合、アイマスクをして条件を揃え、ボールを投げます。
拍手でボールの投球位置を伝えます。
音や触覚を頼ったブラインドボッチャの研究をしていますが、見えなくても良い投球をします。
ブラインドボッチャは好評ではあるのですが、ボール位置把握に時間がかかることで、一投に時間がかかってしまうのが今の課題です。
聴覚障害者がプレイする場合はジェスチャーや筆談
聴覚障害者が参加する場合、概要のルールはだいたいジェスチャーで伝わります。(相手に理解力がある場合が多く・・・)
詳しい質問は、やはり筆談となります。ホワイトボードかメモ用紙を用意しておきましょう。
聴覚障害者の場合、身体的にはボッチャをプレイするうえで、不利なことはなさそうです。
聴覚障害者は一見、健常者と見分けがつかず、ついつい口頭説明で試合進行をしてしまうことがあるので、審判、運用側が注意する必要はあります。
知的障害者や幼い子供はコート内侵入時に注意
知的障害者のボッチャ参加は多いです。
ボッチャは一部の国で知的障害者クラス(BC8)の大会もあります。
知的障害者の他、幼児でよく起こる問題は、コートのボールを取ってしまい、試合が分からなくなってしまうこと。
うちの子も幼いころ我慢できず、点数計算中にボールを取ってしまいました。
真剣勝負をしているときに、無効試合になると悲しいので、ボールを取らないように、審判、運営側でも注意を払っていた方がよいです。
重度障害者や幼児、乳児はランプ使用
重度身体障害者がランプ(滑り台)を使います。
でも、ランプは高いです・・・。
ランプが無ければ雨どいなどで代用しましょう。
重度障害者に限らず、幼児や乳児がベビーカーに座ったまま、転がすこともできます。
体をほとんど動かせない重度障害者や、投げられない乳児も参加できるのが、ユニバーサルボッチャの魅力だと思います。
他のスポーツでは、なかなか難しいでしょう。
来れない人はロボットで参加
冗談に聞こえますが、ロボットでの参加は必須だと考えています。
イベント会場に足を運ぶというのは、それ自体が大きな「バリア」で、なかなか勇気がいることです。
もしかしたら最大のバリアかもしれません。
対人恐怖、もしくは病気や渡航費の問題で、来れない人もいます。
首都大学がボッチャを投げるロボットを作っていますが、これを遠隔操作できると、一緒にボッチャを参加できるのでは?と、考えています。
ネット普及により、個人レベルで世界と中継できる時代になりました。技術的には実現可能です。
二重のバリアは困難
最後にユニバーサルボッチャ運用で困難なことを書きます。
二重のバリア・・・例えば聴覚障害で、さらに言語の壁(英語翻訳)があると、運用難易度が上がります。
この場合は英語筆談となりますが、本気でユニバーサルを追及していると、こんなレアケースにも遭遇します。
ボッチャのルール自体はシンプルなので、手ぶり身振りで伝えることはできると思いますが、体験会やイベントは、常に時間に追われることが多いです。
進行を滞りなくおこなうために、技術を頼るのも良いでしょう。
音声をテキスト化して翻訳するシステムを使うなど、技術を取り入れるのも、ユニバーサルボッチャを広める一つの道かと考えています。